オバマとトランプの演説からみるアメリカの精神

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オバマ退任演説とトランプ会見を比較しながらアメリカの精神について考察した記事
「オバマ退任演説とトランプ会見の比較から見えてくる米国の精神」がニュースイッチに公開されました。

オバマさんの演説は、歴史に残る素晴らしい演説だったと思います。
ちなみに、年末の安倍首相のパールハーバー演説は、もう少し練っても良かったのに・・・、という内容でした。その趣旨でメディアにお話したら、水を指すことになるからなのか採用されなかったようです・・・。

普段は、安倍首相の演説は素晴らしいんですけど、歴史的に重要なスピーチで空振ったのはもったいなかったなあと思います。

WOWOW『本日は、お日柄もよく』対談記事公開

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スピーチライターが主役のドラマ『本日は、お日柄もよく』の主演の比嘉愛未さんと私との対談記事がBuzzFeeDで公開されています。
注目度が高くて、この記事は人気ランキング入りしているそうです。

比嘉さんはとっても可愛くてお人形さんみたいなのに、芯のある女性で、会った人はみんなファンになってしまうと思います。
そんな比嘉さんが熱演したドラマは、1月14日土曜よる10時WOWOWでスタートです。

目まぐるしく変わるファッションも要チェックですよ。今回の取材のときの白の服もすごいシルエットがきれいでした。

PPAP、宇宙に衝撃を与えた無意味さ

今更ですが、PPAPが大ヒットしています。関連動画再生回数50億回以上、Youtube史上もっとも視聴されたコンテンツということになりました。

なぜ、こんなにヒットしているのか、私ごときが切り込めかどうかはなはだ心許ないのですが、思うところがあるので少し書かせていただきます。

PPAPは、多くの外国人から受けているわけですが、その反応は「スゲ—無意味!」とか、「スゲ—センスない!」という内容が多いようです。

それは、まったくその通りなんですが、なんでその「無意味」がこんなに受けるのかいうのが、よくわからないわけです。

それで、この問を解くヒントに、西欧のユーモアと日本のギャグを比較して考えてみたいと思います。

西欧のユーモアは、あくまで意味の戯れです。多くの場合、深刻な言葉を笑いに変えて、深刻さを無力化します。ソフトバンクの孫正義のユーモアを一つご紹介します。「髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのである。」これぞユーモアです。

一方、日本のギャグには深刻さを無力化するという働きは相対的に弱いものです。ビートたけしの「コマネチ」、小島よしおの「そんなの関係ねえ」などなど、もともと意味希薄なものを、より深い意味で無意味化しています。

コマネチは美人な体操選手ですが、ビートたけしの振りが付くと、体操選手のイメージが消し飛んでわけのわからないものになります。そこに意味の真空状態が形成され、その真空が笑いを創り出す源泉になっています。「そんなの関係ねえ」は、文字通り力づくで意味を無意味化するためのフレーズです。

さて、PPAPですが、これがこの観点から見ると見事なのです。まず、I have a pen. I have an apple. ですが、英語を勉強したことのある全ての人は、このフレーズを学ぶはずで、グローバルな非常に多くの人の脳内に意味を形成できます。

次にこの二つをくっつけて、apple pen を作ります。結果、圧倒的に無意味な物体を作り出すことに成功します。pineapple pen も、appleの韻を踏襲しつつ、やはり圧倒的に無意味な物体です。

次の瞬間、この二つの無意味な物体を、あろうことか繋げてしまうのです。そして、こう宣言します。

pen pineapple apple pen! 

ただでさえ無意味な物体が二つ繫がることで、宇宙に衝撃を与えるほどの無意味が形成されます。

なんということでしょう。これほどの無意味が、未だかつて世の中に存在したでしょうか?いや、なかった。だから、こんな凄まじいことになっちゃったんだと思います。

加えて、見た目はヤクザなのに動きがカワイイので、見た目の意味も真空になる。リズムだけでメロディーラインがないので、世界中の人がこの無意味と戯れることができたということも忘れてはならない点です。ということで、PPAPの中心にあるのは、宇宙に衝撃を与えるほどの無意味だと理解できます。

このブームが私にとって衝撃だったのは、日本のギャグが、海外の文化の壁を突き破って世界で通用するという事実です。欧米人には、一部日本通を除いて日本のギャグはわからないんじゃないかと思ってたんですが、ぜんぜんそんなことないみたいです。逆に、ギャグというものに慣れていない世界の人に対して、強烈なインパクトを与える力があることが明らかになりました。

ですので、今後こういうギャグはもっと世界に出て行くことになるんじゃないかと思います。

以上、PPAPについての真面目な論考でした。おしまい!

トランプ勝利演説はいまいち?

トランプの勝利演説は、正直いまいちでした。

かつてのトランプのようなキレはありませんでしたし、8年前のオバマの勝利演説と比べるとその差が歴然としています。

その理由を、ニュースイッチでスピーチを分析しています。

いや、正直な話、ぼくもよく経験するんです(笑)

リーダーに付き合うのって、大変ですよね(遠い目)

『君の名は』は境界線が主題?

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話題の『君の名は』を観てきました。正直、ここまでロジカルな映画だとは思っていませんでした。良い意味で驚きでした。

正直なところ、単なる恋愛ドラマの延長だと思って観にいったんですが、いやはやどうして、ものすごくしっかりと社会的メッセージが描かれている作品でした。こんな作品を作れる監督が、宮崎駿の次にすぐ出てくるとは、おそるべし日本です。以下、若干ネタバレありです。

この映画で描かれていることは、新海誠監督の理想の恋愛ではありません。そういう側面もあるかもしれないですが、たぶん違います。主に描かれているのは「境界線は乗り越えられる」というメッセージです。

物語は、目覚めると高校生の瀧と三葉が入れ替わっているところからスタートします。ここまでは宣伝などで知っていました。だから、ありきたりなアニメを連想させるのですが、後にこの設定が決定的な役割を担っていきます。

この男女は、知らず知らずのうちにお互いの存在を意識するようになり、恋に落ちていきます。しかし、恋に落ちるといっても、「これが恋だ!」と具体的にわかるような恋ではありません。なんとなく「恋の始まりのような何か」が芽生えるだけです。そして、この二人はなかなか会えません。この分け隔てられた二人が会えるかどうかという点が、感情移入を促すための柱になります。

この世界を分け隔てるものは色々あります。男と女、都会と田舎、大人と子供、そしてあの世とこの世です。

これらは、お互いを非常に強く意識しながら、しかしお互いの間に黒々と線を引いて分け隔てています。分け隔てられた二つの概念が、この世界を覆い尽くすことによって、社会の安定をもたらす一方、がんじがらめになって身動きが取れないミスコミュニケーションが支配する社会ができあがります。

新海誠が浮き彫りにしようと試みているのは、この境界線の存在です。これまでの新海映画は観ていないのですが、おそらく主題はおなじく境界線だろうと思います。映画評を観ると、ハッピーエンドではない終わり方をする映画もあるようですが、それはそのようにした方が、強く境界線が意識されるからだろうと思います。

境界線は、昔からケガレとして強く意識されてきました。夕方は、あの世がこの世に溶け出してくる時間です。このような境界の時間は、私たちはどのように振る舞って良いか分からない、難しい時間です。

人間の死も強くケガレと結びついています。死んだらすぐ存在が無くなるわけではなく、長く記憶や気配はその場に留まり、人々に影響を与え続けます。死後49日という期間が設けられているのは、死を直ちに受け入れることができず、まるで生きているような感覚のある期間に、どう振る舞えば良いかを儀礼によって規定することで、楽をさせてあげているのです。そうすることで、身体も心も落ち着いて振る舞うことができます。

新海誠は、境界線という「捉え所のない何か」を、グロテスクにせずに、さわやかに描いています。普通こういうものはグロテスクになりがちです。しかも、分け隔てる境界線を二人が鮮やかに乗り越えることで、グロテスクさはより一層さわやかに感じらるのです。

これは本当にすごいことで、それこそケガレを払うような感覚があります。 複雑でとらえどころのないものを、スッキリと昇華することに成功している証拠です。 このことに成功しているからこそ、こんな複雑な主題を多くの人に観てもらうことができたんだと思います。

もちろん、描いている対象が対象なだけに、どうしてもグロテスクさは消え去りませんが、それでもこの挑戦と個性は目を見張るものがあります。

映画を見終わって、こういう事が出来る監督が出てきたことを嬉しく思うと同時に、僕もがんばらなきゃと、なんだか仲間意識を持ちました。

良い映画なので、ぜひご覧下さい。